赤ちゃんが産まれれば母乳が勝手にどんどん出るというのは間違いです。私も初めは母乳がほとんど出なくて、このまま母乳は出ないままなのではないかと不安に陥りました。いつ頃どのくらい母乳が出るのか、私の母乳育児の経緯についてまとめました。
初めは母乳が全然出なくて不安に駆られる
寝ていて母乳を吸ってくれない
初めは母乳が出ないというのは分かってはいましたが、吸われればそれに反応して母乳が出てくるわけで、一生懸命吸わせようとしました。しかし赤ちゃんは寝ていて全然吸い付いてくれません。生後すぐは寝ていてもしかたないと思っていましたが、生後2日目になっても寝ていて母乳を吸ってくれません。一瞬母乳を吸ってもすぐに寝てしまいます。足や脇をつついたり裸にしたり、助産師さんも起こそうと色々してくれましたが、それでも赤ちゃんは寝ていました。おそらく37週2600gと早め小さめで生まれたので、寝ている時間が多かったのではないかと思います。他のママさんの口コミなどでも、小さく生まれた赤ちゃんは母乳を吸う力が小さいということが書かれていました。生後3日目ぐらいからやっと吸い付いてくれるようになりました。
母乳が出ないと悲しい気持ちに
生後2日目に母乳量を計ってみるとたったの2gでした。病院で勧められている母乳マッサージを必死に行いましたが、やはり母乳はにじむ程度でした。そしてついに10mlミルクを足すように指示され、悲しい気持ちになってしまいました。出産前までは混合栄養でいこうと思っていたはずなのに、ミルクを足してくださいというメッセージがまるで「おまえのおっぱいはダメなおっぱいだ」と烙印を押されたかのように感じてしまいました。
扁平・陥没乳頭でも母乳育児はできる
妊娠中に乳首マッサージをしてみる
私の乳首は両方とも扁平乳頭です。今までは乳首が小さくて目立たなくてよいと思っていたのですが、妊娠すると授乳ができるかどうか心配になりました。妊娠中に乳首のマッサージをして乳首を引っ張り出したかったのですが、切迫早産のため、乳首マッサージを始めたのは36週を過ぎてからでした。乳首マッサージをしていたらほんのちょっとですが透明な液体が出てきて感動しました。
乳首が赤ちゃんの口に入らない
出産後透明な液体がほんの少しは乳首から出ていたので、それを赤ちゃんの口に入れようとしますが、赤ちゃんは吸ったと思ったらすぐに寝てしまうし、そもそも赤ちゃんの口は小さくておっぱいを口の中にいれるのが大変です。隣のお母さんを見てみると、親指ほどの太さの乳首で赤ちゃんはそのままゴクゴク飲んでいました。自分の乳首はまっ平らで、乳首が小さめで恥ずかしくなくてよかったと今まで思っていましたが、役に立たない乳首ほど要らないものはありません。乳首が大きければそれを口の中にただ入れるだけなのですが、乳首がほとんどないため、ハンバーガーのようにおっぱいを潰して乳輪全体を口にくわえさせようと頑張っていました。しかし小さい口にはなかなか入りません。
乳頭保護器を付ける
扁平乳頭のため授乳がうまくいかず困っていると、生後3日目に助産師からメデラのニップルシールド(乳頭保護器)Mサイズを勧められました。ニップルシールドをつけると赤ちゃんは少しおっぱいに吸い付いてくれました。しかしニップルシールドをつけると、吸われるときおっぱいが少し痛くなります。あと、いちいち授乳の度にニップルシールドを付けなれけばいけないのはめんどうくさかったです。メデラのニップルシールドは2枚入りなので、洗って電子レンジでチンしてという手間も大変でした。2枚だけでは使い回すのに大変だからもっと買おうかなと思ったこともありましたが、1ヶ月ぐらいしか使わないものだしと結局その2枚だけで使い回しました。
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ニップルシールドはいつ外れる?
生後2、3週でニップルシールドを外しておっぱいを直接口の中に入れようとしても、嫌がってくわえようとしないし、顔をイヤイヤと横に振ってしまいました。おっぱいをくわえさせるまでかなり格闘しましたが、泣き叫ぶ子を見るとかわいそうでついついニップルシールドを付けていました。特におなかが空いてギャン泣きのときは難しく、機嫌が良さそうなときはおっぱいをくわえてくれることがありました。生後3週目までは1日1回成功するかどうかという感じだったのですが、生後1ヶ月超えると急に直接飲んでくれるようになりました。どうやら吸う力が強くなったようで、まだ口は小さいのですが、おっぱいを口に突っ込むとしっかり吸ってくれます。横抱きではなくラッコ抱きにして、子供の唇の上から乳首を下にずらして口の中に入れるようにしたら、乳首が口の中に入りやすくなり、ニップルシールドがなくても授乳がしやすくなりました。
おっぱいのトラブル
胸がこんなに痛くなるの?
生後3日目に胸がパンパンに張って痛くて眠れませんでした。おっぱいはカチカチに張っているため、寝返りするとベッドに当たって痛くなります。翌日に、助産師がパンパンに張って痛い胸をマッサージしてくれ、少し張りが収まったように感じました。助産師のアドバイスに従っておっぱい全体に水で濡らしたタオルを載せました。その後は徐々に張りがおさまって痛みもよくなりました。
乳首が切れてとんでもなく痛い
生後4日目に左乳首が切れてしまって赤く血が滲んでしまいました。ニップルシールドがずれて浅飲みしてしまったのが原因のようです。母乳を吸われると左乳首はヒリヒリとんでもなく痛かったです。血豆ができた左乳首にはピュアレーンを塗って、徐々に治りました。
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母乳を増やすために私がしたこと
母乳外来へ行ってみる
生後2週間で母乳量は20gとなかなか増えないので、心配になって母乳外来に行くことにしました。母乳外来は初回受診料が5000〜7000円とかなり高いのですが、3ヶ月以内に母乳が出るようにならないとその後はなかなか出ないということを聞いたので、今のうちに行っておこうと思いました。私が行った桶谷式の母乳外来はマンションの一室にあり、ドアを開けて中に入ると、お母さんと赤ちゃんで混雑していました。子の出生歴や自分の既往歴などの問診票を記入し、隣の部屋に行くと、おっぱいをマッサージされているお母さんとその隣に寝ている赤ちゃんがいました。その後、ベッドの上に横になるように言われ、その隣に子どもを横に置いて、母乳マッサージが始まりました。マッサージというと痛いイメージがありますが、全然痛くありません。母乳がピューピュー飛び、母乳は出ているから心配ないと言われました。左が詰まりやすいから左から先に授乳するように言われました。また、和食中心の食事にすること、麦茶じゃなく母乳を増やすような暖かいハーブティーを飲むことを注意されました。最後に、授乳の体勢を教わり、ニップルシールドを外して直接母乳をあげる練習もしました。
母乳を増やす努力
母乳量が増えないことが気になり、母乳育児の本を大量に図書館で借りました。母乳外来で指導するのも母乳の本を書いているのもみな助産師で、小児科医の私はあまり母乳について詳しくありませんでした。そういった母乳の本には、和食が母乳に良いとか辛いものは母乳の味が悪くなって赤ちゃんが嫌がるとかそういったことばかり書いてありました。こういう本は論文などの引用がまるでないのでエビデンスは無さそうに思いました。しかしエビデンスがなくても効能がある可能性はあると思っているので、簡単にできることはしようと思いました。辛いものは好きでよくヤムウンセン(タイ風春雨)を食べたり冷麺を食べたりするので、それをやめようとは思いません。ただ麦茶じゃなくてラズベリーリーフティーを飲むということは簡単にできることなのでラズベリーリーフティーを買って飲むようにしました。それから母乳量を増やすにはとにかく回数を増やしたほうがいい、1日10回ぐらいあげた方がいいということなので、ミルクを足す回数を毎回ではなく2回に1回にし、夜はミルクを60ml足していたのを40mlにしました。
母乳は1ヶ月頃から増えてくる
1ヶ月過ぎて母乳が急に増えた
1ヶ月超えてから急に母乳量が増え、40-60g出るようになりました。ラズベリーリーフティーのおかげなのか、母乳の回数を増やしたせいなのか、赤ちゃんの吸う力が強くなったせいなのかは分かりませんが。午前中は特によく出るので午前中はミルクを足さず、昼以降のみ2回に1回ミルクを足すようにしました。
その後の母乳育児
生後2ヶ月半頃から母乳中心になりました。ミルクは午後に1日2回足すだけです。昼13〜15時頃に1回100ml、夜18〜21時頃に1回100ml、合計1日200ml足しています。もし最悪ミルクがなくても頻回母乳でなんとかなります。
母乳とミルクの混合栄養のススメ
母乳だけだといざというときに困る
私は母乳に加えて1日2回ミルクというちょうどいいくらいの混合育児をすることができています。元々混合がいいと思っていたので、母乳だけになりそうになってもあえてミルクを足していました。というのは、母乳だけにしてしまったら今後困るからです。私は仕事を始める予定でしたので、その間は哺乳瓶でミルクを飲ませてもらうことになります。哺乳瓶やミルクに慣れさせておかないとと思いました。仕事をする予定がないママも、例えば入院してしまったとか薬を飲まなければならなくなったとか、いざというときに困りますよね。哺乳瓶やミルクも飲めるようにしておくとよいと思います。
栄養価の面でも混合栄養はオススメ
混合栄養は母乳とミルクの両方の良い点を持っているのでオススメです。母乳のいいところは赤ちゃんの免疫力向上、ママの乳がん・子宮体がんのリスク低下、ママの月経再開を遅らせる、費用や手間がかからないなどがあると思います。一方、ミルクはビタミンD・ビタミンK・鉄分が母乳より多く含まれている、腹持ちがいいので頻回に授乳しなくてもよい、黄疸になりにくいなどがあります。小児科医としてよく遭遇するのが完全母乳で育てられて離乳食が進んでいない乳児の貧血です。生後7ヶ月〜1歳頃はお母さんからもらった鉄の貯金がなくなり、鉄欠乏性貧血になりやすいのです。貧血になると知能や発育に影響が出ますので、完全母乳の場合、離乳食をしっかり進める、ミルクを加えるなどの工夫が必要だと思います。
まとめ
母乳を増やすために
・和食中心の食事をする
・ラズベリーリーフティーなどの温かいハーブティーを飲む
・母乳マッサージをする
・1日10回近く頻回授乳をする
・水分を多く摂取する
・昼寝をするなど睡眠を多くとる
上記のことがよく言われていますが、エビデンスがないものがほとんどです。できる範囲のことをすればよいと思います。私は辛いものが好きなので、ヤムウンセンなどの辛いものを食べていましたが、特に母乳の出が悪くなるようなことはありませんでした。
母乳はいつ頃から増える?
私は1ヶ月頃から増えて2ヶ月半から母乳育児の軌道に乗りました。一般的には3ヶ月以内に母乳が増えて、そのままの量で続くようです。私の母乳量の経緯をまとめておきます。
生後0〜2日:2g
生後3日:5g
生後4日:10g
生後2〜3週目:20〜30g
生後1ヶ月:40〜60g
生後1ヶ月半:朝は70〜90g、夕方は40〜60g
生後2ヶ月:朝は90〜130g、夕方は50〜70g
母乳量が心配なら
母乳がなかなか増えなくて心配であれば、一度母乳外来で診てもらうとよいと思います。私も一度診てもらって、母乳量は十分出ていると聞いて安心しました。
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