赤ちゃんのうんちの回数及び色は目まぐるしく変化します。
小児科医をしていると、1ヶ月健診で排便の回数がこんなに多いのは大丈夫なのでしょうか?などと聞かれることがあります。また、便の色がおかしいという主訴で小児クリニックに駆け込んでくるお母さんもいます。
こんなに多くて大丈夫なのか?こんな色でいいのか?という疑問に、小児科医の私が赤ちゃんのうんちについてまとめました。
赤ちゃんの時期別うんちの状態
生後2、3日以内
新生児が生後まもなく排泄する便を胎便と呼びます。胎便は黒色でねばねばしたうんちで、生後2,3日で終わります。初めて赤ちゃんの胎便を見る人はあまりにうんちが黒くてべたべたしているので、びっくりするかもしれません。粘っこいのでおしりふきで拭いてもなかなか取れないので、厚手のおしりふきで取るか、沐浴できれいに流すのがいいでしょう。
色:黒色や暗緑色
回数:1日1〜8回
匂い:無臭
菌:無菌
異常:2日以内に排泄がない場合は鎖肛(肛門が閉鎖)や消化管閉鎖などの病気の可能性
生後1週間
生後2,3日以内に胎便が排泄された後は緑褐色便となり、生後1週間後には黄色便になります。徐々に色が薄くなってきます。新生児期は哺乳の度に少量ずつ排便するので、1日6〜8回ぐらいとうんちの回数は多いです。おしっこも1日10回近くしますので、授乳の度にオムツ替えがいいでしょう。
色:黒色→緑褐色→黄色
回数:1日6〜8回
匂い:あまりしない
固さ:ほぼ水様
菌:ビフィズス菌
0~2か月
この時期は水様で黄色のうんちが1日に1〜10回ぐらい出ます。母乳やミルクの脂肪分である白いつぶつぶや粘液が混じることがあります。母乳やミルクしか飲んでいないため、匂いは酸っぱくなります。うんちの回数は体質や母乳、ミルクなどによってそれぞれです。一般的には新生児期は8回ぐらい、1ヶ月時は5回ぐらい、2ヶ月時は3回くらいと徐々に少なくなってくることが多いです。完全母乳だと1日10回以上の水様便のこともあります。
色:黄色、白いツブツブが混じることがある
便:1日1〜10回
匂い:酸っぱい
固さ:水様〜泥状
菌:ビフィズス菌
異常:排便が3,4日出ない場合は綿棒浣腸を試す。それでも出ない場合は小児科を受診。慢性的な便秘ではヒルシュスプルング病などの可能性も。
3~5か月
泥状の便が徐々に軟便になってきます。回数は1日に1,2回となることが多いでしょう。2〜4ヶ月頃は便秘がちになりやすい時期で、排便が3,4日出ない場合は綿棒浣腸を試してみて、それでも出ない場合は小児科を受診しましょう。
色:黄色、白いツブツブが混じることがある
便:1日1〜3回
匂い:酸っぱい
固さ:泥状〜軟便
菌:ビフィズス菌
異常:排便が3,4日出ない場合は綿棒浣腸を試す。それでも出ない場合は小児科を受診。慢性的な便秘ではヒルシュスプルング病などの可能性も。
6~8か月
離乳食が始まると、うんちはだいぶ変わります。食べた内容や消化力によってうんちの状態は変化します。下痢になったり、食べたものが未消化のまま出てくることもあります。色が徐々に茶色くなり、匂いも臭くなっていきます。
色:黄色〜茶色
便:1日1〜3回
匂い:臭くなってくる
固さ:軟便
9か月~1歳
消化能力が高まり、軟便だったのが大人の便に近い固まったうんちに変化します。匂いもうんちの臭いがします。
色:茶色
便:1日1〜3回
匂い:臭い
固さ:練り歯磨き程度
病気のうんち
赤いうんち
赤いうんちは血液が混じっているということです。小腸や大腸から出血していることが多いです。
腸重積症
8ヶ月頃から3歳頃に多い病気です。いちごジャムのような血便が出て、強いおなかの痛みがあり、5~15分おきに激しく泣きます。腸の一部が腸の中に入り込み、通過障害を起こして腸閉塞になっている状態です。すぐに病院を受診する必要があります。発症してから24時間以内であれば高圧浣腸、それ以上経っていると手術になります。
細菌性胃腸炎
1歳頃から大人までかかる病気です。粘液のような血液が混ざった下痢が出ます。嘔吐や腹痛、発熱も伴うことが多いです。生肉や生卵などを食べて、O-157などの病原性大腸菌やサルモネラ菌に感染している状態です。病院を受診して、状態によって点滴や入院が必要になります。
白いうんち
ロタウイルス性胃腸炎
新生児から大人までかかる病気です。白く水っぽいうんちの下痢、嘔吐が続きます。冬に多いロタウイルスというウイルス性感染症です。嘔吐がひどかったり水分補給ができなければ脱水症の可能性がありますので、小児科を受診しましょう。手洗いが感染予防になります。
胆道閉鎖症
新生児から3ヶ月までに症状が出ます。生後2週間頃からずっと白っぽいうんちが続き、皮膚が黄色い、尿の色が濃くなるという症状も伴います。胆道が閉鎖していてビリルビンが消化管に排泄できない状態です。手術が必要となるのでなるべく早く受診しましょう。
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